上磯郡のアイヌなどに伝わる鱒[ます]の精。美くしい人間の女の姿に化けたりも出来ます。
むかし、とても歌のうまい青年がいて、その青年が川のほとりで歌ってたところ、美しい女性があらわれ、「わたしの正体は鱒だが、おまえの歌声がすばらしいのでもっと聴きたい、ここで待ってるからときどき聞かせてくれ」と頼んだトカ。しかし、誰にも言ってはいけないといわれてたこのイチャヌエの美女のことを青年は友達にしゃべってしまい、途端に死んでしまったんだソウナ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
「イチャヌエ」は普通に「鱒」(ます)の意味。特別に固有の呼び名があったかは未詳。
和漢百魅缶│2013.09.05
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