肥後にいたというふしぎな幻術つかい。戸隠山の飯綱大権現の術を学んだ、と自称してたそうですが正体は不明。
すいかを売りに行く人たちに「ひとつたもらせんな」と頼んだら、「あげぬ」と断られたので、落ちてた種を拾って埋めたところ、たちまちたくさんのすいかが生えて来て、かしどんはそれを食べたり、そこらのひとに分けたりしますが、実はそれは全部幻術で、「あげぬ」と断ったひとたちのすいかを奪って生えてきたように見せただけだった、といいます。
また、あるひとがかしどんの家に呼ばれて「なば汁をご馳走しよ」と言われたときは、かしどんが囲炉裏のふちをコンコンとたたいて「なば出て来い」と言うとたちまちしいたけが生えてきて、あっという間に大きくなり、おいしいなば汁を作ってくれたといいます。
☆ 莱莉垣桜文 附註
瓜を奪う幻術は徐光なども使ってる昔ながらのもの。ほかにも数多くの幻術(木の葉を貨幣と見せる、徳利の中へ入る等)をほかの幻術使いや外道同様に使ったはなしが残されてるそうです。
和漢百魅缶│2013.09.04
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