羽後などにつたわるもの。田んぼを荒らしまわる悪い鳥で、小豆汁が嫌い。だおだおと鼻の詰まった声で鳴きます。
むかし、諸国を旅してた左甚五郎[ひだりじんごろう]がある村でお堂を建てる仕事をもらって作業してるとき、おなかがへって仕方ないので農作業の途中お弁当をたべてるお百姓さんたちに「めしが足りんので少し分けてくれんか」と頼みに行くと「お前、そこら中にかんなくず捨てっぱなしにしてるあの大工だな、やらねぇ」と簡単に断られてしまいます。
怒った甚五郎がかんなくずを集めてひとつひとつに羽根のような細工をつけてだおだおとあおいで飛ばすと、それがぜんぶこの鳥に変化して飛び出し、村中の田んぼを荒らしまわり、困ったお百姓さんたちが詫びをいれると、「あいつらは小豆汁を見れば自分達の体の色に似てるんで煮られちゃ困ると逃げ出すぞ」とだけ教えていなくなってしまったソウナ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
「だお鳥」は鴇[とき]のこと。左甚五郎によって製造されたという展開は「ときのせい」と同様のもの。だおだおと鼻声で鳴くのは、急いでかんなくずから造ったので甚五郎が鼻の穴を彫り忘れたからだと話されてます。
和漢百魅缶│2013.08.07
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