陸奥の五戸につたわるもので「やまんば」のくれたふしぎな汚いお椀。もちぬしをたすけてくれます。
むかし、太郎と次郎と三郎が親からいくらかの金をもらって「3年の間にこれを元手にして何か修得して来い」と旅立ったのですが、太郎は特にやることが思い浮かばないまま山の中を通ってると「やまんば」に遭ったので、「やまんば」のところで3年手伝いをして暮らします。
3年たって家に帰るというときにもらったのがこのお椀で、家に帰って「お前は何して来た」と親に聞かれて太郎はしどろもどろしてしまいますが、突然ふところに入れてたこのお椀が「ぬすっと覚えで来だ」としゃべったので「なら、馬小屋を厳重にまもらせるから、見事に馬をぬすんでみろ」と言われてしまいます。
太郎がどうしたものかと考えてると、このお椀がいきなり地面に穴をほりだして馬小屋に忍び込めるような抜け穴をつくったり、「ここにおるぞぅ」などと警備の若い者や犬たちをまどわしたりしてくれたので、見事に馬をぬすみだすことが出来、怒られなかったソウナ。
和漢百魅缶│2013.05.30
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