ようこ 妖虎

ようこ(妖虎)

とらが人間の姿になって生活してたというもの。

むかし申屠澄[しんとちょう]という男は、漢州に赴任する旅の途中に大雪にあって道に迷ってしまいます。なんとか見つけた一軒家に宿をかりるとその家の夫婦の娘がとても親切にしてくれたのでひとめ惚れ。そのままお嫁にもらいうけ、漢州へと無事たどりつきます。

子供もうまれて任期も満了し、漢州からふるさとへ帰りますが、途中で妻の家にたちよってみると誰もおらずがらんどう。どうしたのだろうと申屠澄が思ってると、妻は奥にかけられてた虎の皮のちりを払いながら「あった!あった!」と出て来て一声うなり声をあげ、とらの姿に変じるとそのまま山の中に消えてしまったソウナ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
『河来記』などに書かれてるおはなし。漢州からの帰り道、嘉凌江で妻が詠む漢詩「琴瑟情雖重 山林志自深 常憂時節変 頓負百年心」は「くずのは」の「こいしくばたずねきてみよ…」とはまた逆のおもむきのうた。

和漢百魅缶│2013.02.08
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