洪の翠巌[すいがん]にあった斉の安王[あんおう]のほこらに住んでたぬしで、とても大きな大蛇。
むかし、死心[ししん]という和尚さんがこのほこらの近くの寺にやってくると、ここが異常に人民たちからもてはやされてる淫祠になってたので、これをつぶして寺の脇にうつし、ほこらの跡地には庵をむすんで自分が住んでしまいました。
すると死心が眠ってるときにぬしが大蛇のすがたで出没。しかし死心が大声で一喝したところ逃げて行ってしまいます。次の夜は神のすがたで現れて「余はもはやこの地に安住できぬ、ついては広南にひき移るによって60人ばかり人手がほしい、そのことぜひ御諒承くだされ」と言ってきたので死心はそれを許可します。
すると翌日、寺でつかってる壮夫たちが疫病にかかってばたばたと急死。その数はちょうど60人だったといいます。
和漢百魅缶│2013.02.03
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