やまなかのいんせき 山中の隕石

やまなかのいんせき(山中の隕石)

むかし、加州の山中温泉の堀口というひとの屋敷に急降下して来たというふしぎなもの。隕石が落っこってきて屋根をぶち破り、畳の上に雷のような大音をたててボタッと届いたのですが、家のひとたちがつむっていた眼をひらいて畳の上を捜してみても、何も落ちていなかったんだトカ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
堀麦水『三州奇談』曰
「一夜落ちる石あり大きさ二尺或は三尺許とも見えたり天井を破り直に畳の上に落る音雷の如く物みなをどり上り行灯ゆりこぼれ湯入の人々皆門前に逃出しけるに此石に打たれたる人もなし又畳の上に破れたる所もなく畳の上に石ありたるを見たる者もなし」

和漢百魅缶│2012.06.04
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