播州の佐用郡に出たという菅笠[すげがさ]をかぶった子供の姿をしたもので、見たところ普通の子供なのですが、だんだん宙に浮かび出して、しばらくすると完全に空にあがってしまってどこかに行ってしまったというふしぎなもの。
☆ 莱莉垣桜文 附註
岡靖軒『西播怪談実記』曰
「十二三なる子すげ笠をきて立ゐたれば参宮の子共ならんか夜更[ふけ]て爰[ここ]にひとり居る事の不便[ふびん]おと思ひ何心なく立寄て指覗[さしのぞけ]ば彼[かの]子共菅笠をきながら地を壱尺斗[ばかり]離[はなれ]て中[ちう]を行[ゆく]。こは不思議と見る内に段々と高く上[あがり]て終[つい]に隣の家の棟を越[こし]て行方[ゆきかた]しれず失[うせ]にけり」
「定めて狐なるべけれど」とも書かれていますが、実際は何だったのかは不詳です。
和漢百魅缶│2012.03.26
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