しとりのいけのだいじゃ しとりの池の大蛇

しとりのいけのだいじゃ(しとりの池の大蛇)

淡州のしとりの池に住んでいたという大蛇で、人間たちを食べたりしていましたが、船越五郎左衛門[ふなこしごろうざえもん]というおとのさまの弓によって射られ、首を落とされましたが、その時に大蛇が発した毒気によって五郎左衛門も死んでしまったトカ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
三坂春編『老媼茶話』曰
「船越が将のふ地それがし立向[たちむかひ]長刀を以て大蛇の首を切落す。其時[そのとき]大蛇は納地[のふち]それがしに息を吹かくる。身に熱湯をあびるがごとく納地毒気を触れて甚[はなはだ]煩熱[はんねつ]し其日の暮方に死[しす]。船越が馬が乗たる馬もたち所に死し船越も四五日過て皮膚あかく爛[ただ]れて死たり。大蛇のかしら今に於て船越の子孫持[もち]つたへたりといへり。」

納地某は船越家の家臣。射られたあと城門におどりかかって来た大蛇を防いだものの毒気を直に浴びてしまい命を落としました。

和漢百魅缶│2011.05.08
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