むかし、李叔堅[りしゅくけん]というひとの家に飼われていたふしぎな犬で、二本足で立って歩き回ったり、置いてある冠を勝手にかぶったり、竈[かまど]の火を自分で起こしたりしたといいます。
☆ 莱莉垣桜文 附註
『捜神記』にある話では、まわりのひとが「こんな怪しい犬は殺すべきです」と言って来たけども、李叔堅は「これになんぞ悪いことありや」とこれを気にせず飼い続け、結局、誰かが死んだり、家が没落したりという凶事は一切巻き起こらなかったというもの。
また、獣が火を起こすという点では「ごとくねこ」にちょっぴり影響があったりするのかとも思われますが、あんまりそうとも言えません。
和漢百魅缶│2010.12.07
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