総州印旛郡の松崎村にあった池で、むかしお鶴というすごく仕事の出来る女がいて、ある日「田んぼに一日で千把の稲を植えてやる」と言って仕事にとりかかった。みるみるうちに田植えは出来上がって日の沈まぬうちに千把の苗が植えきれた。調子づいたお鶴が股の間から顔をのぞかせて「やーい、お日様まだ入りやらぬー」と夕陽に向かって声をあびせると、突然お鶴はお日様の罰があたって、そのまま死んでしまった。その後、この田んぼは使われず、のちに池になってこんな名前がついたんだトカ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
池のほとりには弁財天がまつってあって、お鶴のお墓だと言われていました。お日様をなじって罰をうけるのは武州の「じじいばばあいし」などと同類です。
和漢百魅缶│2010.05.22
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