せんふごじん 鮮不五稔

せんふごじん(鮮不五稔)

どんなに君主が悪政をとって国が無道であろうとも、すぐに五穀がまったく実らなくなるような「わざわい」が発生することはないこと。

「天賛」(天のたすけ)によって起こるとされる作用で、五穀がキチンと成長して収穫がおこなえます。

瞬時に五穀が育たなくなって王朝が滅びることはない――とはしてますが、実質は「そんな状態なのにわざわいが起こらない」ことが「わざわい」であるとも言えます。

☆ 莱莉垣桜文 附註
『春秋左氏伝』昭公元年 曰
「国無道而年穀和熟 天賛之也 鮮不五捻」
加藤正庵『春秋左氏伝国字弁』曰
「一国中に道なくても年穀が和熟して天変のないと云ことは天の佐[たすけ]けあるゆゑなり」

いっぽう、『論衡』では「天賛」によって五穀がキチンと収穫出来てしまうこと自体が、既に王朝のほろびる「わざわい」にあたるハズだと難じています。

『論衡』異虚篇 曰
「王者過有 異見於国 不改 災見草木 不改 災見於五穀 不改 災至身」
「災見於五穀 五穀安得熟 不熟 将亡之徴」

「五稔」は「5年間のみのり」とも、「五穀」のこととも解釈されています。『春秋左氏伝』や『国語』では「5年間」のほうで読むのが普通ですが、『論衡』の場合は特に「五穀」のほうの意味で読むようです。

和漢百魅缶│2026.06.11
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