ぶつそん 物蹲

ぶつそん(物蹲)

真っ暗なところにうずくまってるよくわからないもの。

むかし、夜に家へ帰って来たひとが、門口に何かがうずくまってたので「猪狗類」(ぶた・いぬみたいなもの)だと思って杖でなぐりつけて追っ払いました。しかし、逃げ去ったそのすがたを月明りによく眺めてみると、おそろしい虎だったソウナ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
はじめからあたまのなかに「こわいものだ」と思ってもないと、現実のものに対してすら「おそれる」ということは生じない、というたとえとして良く示されます。

『東坡文集』におさめられている文のなかに「有物蹲 其門以為猪狗類也 以杖撃之 即逸去 至山下月明所 則虎也」と記されてるはなしで、日本でも『訓蒙故事要言』(巻8)や『愈愚随筆』(巻9)に載せられてひろく読まれてました。

『訓蒙故事要言』巻8 曰
「是人[このひと]虎[とら]に勝[かつ]には非[あら]ず懼[おそれ]ずして気すでに蓋之[これをおおう]ゆへなり」

和漢百魅缶│2026.05.17
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