げちゅうにりょう 牙中二竜

げちゅうにりょう(牙中二竜)

中にうやうやしく向き合って立つ竜のすがたがあるという、めずらしい象牙。

むかし、ある莫徭[ばくよう]が竹丁(竹のとげとげ)でけがをして苦しんでる大きな象を助けて治療してあげたところ、とても大きな象牙をお礼に贈ってくれたといいます。

この象牙を莫徭が市場に出した噂を耳にした胡商たちが「これは二竜の入ってる象牙に違いない」と大金を積み争って入手しようとしましたが、そんなにすごいものならばとい役所の命令で、則天武后に献上されることになったといいます。

☆ 莱莉垣桜文 附註
莫徭は南のほうに暮らしてた民のひとつ。胡商は西の国から交易に来てる商人たち。『広異記』にあるもので、この莫徭には毎年50貫の銭が支給されるようになりました。

和漢百魅缶│2025.09.24
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