とちゅう 吐虫

とちゅう(吐虫)

人間のからだのなかで働いてる虫の一ッで、身体を流れてる十脈のなかに住んでるといいます。

口のなかに入って来たものによって起こる異常を感知すると、咽喉[のど]に集まって来て、人間に吐き気を起こさせます。原因となる食べ物や異物によって五種の反応を示すようです。

☆ 莱莉垣桜文 附註
『正法念処経』巻64 曰
「吐虫 住人身中住於十脈流注之処 若人食時如是之虫従十脈中 踊身上行至咽喉中 即令人吐 令人生於五種嘔吐」
「一者風吐 二者陰吐 三者唾吐 四者雑吐 五者蝿吐 若虫安隱 食則調順 入於腹中」

風吐[ふうと]は食べ物によって体調不良を発したとき、陰吐[いんと]は食べ物の味付けが辛すぎたりしたとき、唾吐[だと]は食べ物が冷たすぎたり甘すぎたりしたとき、雑吐[ざっと]は食べ物の油や酢が強すぎしたりしたとき、蝿吐[ようと]は食べ物が不浄だったり虫が直接飛び込んで来たりしたときにおもに発動する反応だといいます。

和漢百魅缶│2025.06.14
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