いく

いく

新助という男と仲睦まじく暮らしてた妻で、若くして胸の病で亡くなる際に言い残した「決して後妻はとらないで下さい」とう念が、この世に残ったと言います。

1年後に後妻をとった新助が仏壇を拝むと、銭が1枚飛び出して来て、ひたいにぴったり貼りついて、どうしても取れなくなってしまいました。

後妻にも何か起こらないかと気になった新助が、何とか妻の霊のこころを落ち着けようと、ずんだ餅(いくの大好物)をつくってあげたところ、銭はひたいから落ちたソウナ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
山田野理夫『東北怪談の旅』の「ズンタ餅」(ズンダ餅)に出て来るもの。福島県相馬の新地村のはなしだと舞台設定されてます。

飛んで来て新助に貼りついた銭は、六文銭の1枚だと描写されており、いくがあの世に行くために持たされてた1枚を投げたものだとわかります。

和漢百魅缶│2024.07.12
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