胡仙[こせん]たちに頼むと必要なものを貸してくれたというもの。
河北省宛平県の大棗園にある胡仙廟には、慶弔の際に椅子や机が足りないときは、必要な数を記した紙を置いておけば、翌朝にはその数だけのそれが置いてあり、借りることが出来たといいます。使い終わったらキチンと返却するわけですが、あるとき返さな い不届き者がいて、以後は貸してくれなくなったとされます。
☆ 莱莉垣桜文 附註
胡仙や胡は狐[きつね]たちのこと。狐と胡の発音がおなじことに由来した呼び方です。
日本にも見られるお椀やお膳を貸してくれるはなしと同じもので、山本斌『中国の民間伝承』によると大陸ではこのような言い伝えのあった狐たちの廟が各地に多くあったといいます。
和漢百魅缶│2022.12.28
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