えぼしのごときをかぶりたるひと 烏帽子の如きを帽りたる人

えぼしのごときをかぶりたるひと
(烏帽子の如きを帽りたる人)

烏帽子[えぼし]のようなものをかぶってる、この世の者にはなんとなく見えないひとびと。あの世に向かう途中の大きな山のあたりには、こういうひとがあわただしく大勢、行ったり来たりしてたといいます。

あわただしく行ったり来たりしてますが、決して言葉を発してなかったといいます。

☆ 莱莉垣桜文 附註
『甲子夜話』巻67にある、行智が木曽街道の茶店で耳にして来た「善蔵という老人が一度死んだケドよみがえった」というはなしのなかに出て来るもの。

和漢百魅缶│2022.09.07
Design. Koorintei Hyousen 2022