くびきれうま 首切馬

くびきれうま(首切馬)

むかし、馬をたいへん乱暴につかう貪欲な長者があって、節供の日にも働かせつづけてました。長者の娘が「かわいそうなので、やめてください」と頼みましたが、長者は怒って馬の首を刎ねとばしてしまいました。悲しんだ娘はそのまま家から居なくなってしまったといいます。

その直後、ちゃぐちゃぐうまっこの祭りのときの馬の行列のなかに、首のない馬に乗ったこの娘をすがたを見た――というひとが出たソウナ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
山田野理夫『おばけ文庫 いったい なんびき』の「くびきれウマ その2」で書かれてる妖怪。岩手の盛岡が舞台設定されており、「あとがき」には、野理夫はこのはなしを子供のときに父からよく聴いてたということを記載してます。

「くびきれうまという妖怪のはなし」という設定自体が、馬のはなしを「妖怪名彙」などを経由して知られた「くびきれうま」という妖怪の側に引き寄せて再構成されたと考えられます。

和漢百魅缶│2022.08.04
Design. Koorintei Hyousen 2022