おべんがみ おべん神

おべんがみ(おべん神)

むかし、おべんという女が川で金のかけらを発見して、金山を発見しました。しかし、採掘したその黄金を横取りしようとした男に殺されてしまいました。男がたんまりと持ち帰った黄金をあらためて眺めると、すべて石になってたといいます。

おべんは村人によって近くの弁天山に「おべんがみ」としてまつられましたが、それからは弁天山に男がのぼると必ず雨が降り、「いっししし」とわらいごえが聴こえるようになったソウナ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
山田野理夫『お笑い文庫 しくじった笑い神』の「オベン神」で書かれてるもの。舞台は岩手の橋場村、殺したのは高場[たかば]という男と描写されてます。

『遠野物語拾遺』の39話(弁天山のはなし)を素材にして書かれてます。原話では金山は六黒見[むくらみ]山と具体的にいわれてますが、殺した男のほうは逆に「悪者」というダケの表記です。石になってしまったり、わらいごえがしたりするの描写もみられません。

お笑い文庫で野理夫が書いてるはなしは大部分が落語・狂言が材料になってますが、なかには伝説・昔話などを素材にしたものもあり、こちらもはなしの描き方や造り方をうかがう材料になります。

和漢百魅缶│2022.08.02
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