さんもんにすむおに 山門に住む鬼

さんもんにすむおに(山門に住む鬼)

異国の地の山門の上に住んでたという「おに」で、碁[ご]を打つのをたのしみに暮らしてたといいます。

むかし、7人の若者が学問をまなびに異国へ渡った際、そのうちの藤麿[ふじまろ]という男がこの鬼と仲良くなり、いつも囲碁でたのしんでました。しかし、7人が祖国へ帰る際、鬼は「ほかの者は、わしの相手をして遊んでくれることがなかった」として、あとの6人を全員ぼりぼり食べてしまったので、藤麿は満腹になって眠ってる鬼を食べることで、6人を連れ帰ったソウナ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
山田野理夫『おばけ文庫 だんまり ゆうれい』の「七人分」というはなしに登場してる妖怪。この巻は落語から採られたものが主となってますが、野理夫が採集したはなしを「落語」風にアレンジして載せたはなしもあると書かれており、そちらにあたるものかと思われます。

漢土の地の楼門山門に鬼がいるのは吉備真備のはなしなどに見られる要素でもあります。

和漢百魅缶│2022.07.28
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