貧乏な男が山でたきぎを拾ってるとき、たまたま木にぶらさがって死んでるひとを見つけて「もう死んでるからおまえは寒くあんめえ、もんぴき(股引)をもらうぞ」と奪って帰り、そしらぬ顔で穿いて暮らしてた。
しかし、それを見てた狸[たぬき]たちが夜ごとに化けて「もんぴきよこせーもんぴきよこせー」と出て来るようになり、そのうわさから男が股引を盗んだことが露顕してしまったトカ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
常州行方郡などに伝わるもの。持主の霊ではなくて、狸などがその持主に化けて現われて来るというところはおぼえておくべき点。
和漢百魅缶│2019.03.11
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