嵩嶽[すうがく]のやまのなかにある廟[びょう]にまつられてた古い一個の竈[かまど]で、これで牛や羊や鶏や魚などいろいろな畜肉魚鮮を煮込んで祈りをささげると、願いがかなう神様だとされてました。
むかし、ある和尚がこの竈に対して「こんなものはただの瓦石合成だ」と言い放って杖でバキバキと叩き壊したところ、青い着物の人が現われ、「わたしはいままで業報を受けてましたが、師の無生法のお説によって業苦を離れることが出来ました、ありがたきことでございます」とお礼を言って消えたソウナ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
竈[かまど]は釜[かま]と語られることもあり、和訳された『沙石集』や『源平盛衰記』などでの話でも釜となってます。これを叩き壊した和尚は破竈堕と呼ばれたといいます。
和漢百魅缶│2019.01.04
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