しょうじょうつぼ 猩々壺

しょうじょうつぼ(猩々壺)

ひとの体の中に入って来るというふしぎな壺[つぼ]のかたちをしてるもので、これがいるといくらでもいくらでもお酒を飲んでも平気でいられる体になってしまうといいます。

慶長のころ、越後に今猩々[いましょうじょう]というあだ名をもつ正右衛門という、いくらでもお酒がのめるというふしぎな漁師がおり、ある大名が「実にふしぎじゃ、ひみつをさぐれ」と正右衛門を召し出して殺し、体を大解剖してみたところ、左右の腋[わき]の下からお酒のたっぷりはいった壺のようなものを摘出。調べてみると召し出された際に正右衛門がのみほしてみせたお酒とぴったり同じ量の酒が壺にはあって、改めてそれに酒を入れてみたところ、それ以上をそそいでもあふれることは無かったソウナ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
『伊頭園茶話』9巻 曰
「正右衛門といふもの今猩々と綽名せり 限りなき上戸にて六斗の酒を飲み尽しけれ共 漸々ほろ酔機嫌の体にて心よく臥せり 国の守 戦国の余風あら気にて殺させて見しに 両の脇の下に小さき壺のごときものありて其の中に今飲し酒湛えたり 再び入るにいかほども入るといへり かかる事もあるにや」

お酒ではなく、お茶では中国に「こくみょう」などがあります。

和漢百魅缶│2017.11.02
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