くけつのかい 九穴貝

くけつのかい(九穴貝)

熊野の那智の滝のなかにいるというここのつの穴のあいたふしぎな海貝。大きさは3尺あまり。これがいるので滝の水を飲んでも寿命がのびるといわれてたそうです。

☆ 莱莉垣桜文 附註
『本朝神社考』熊野 曰
「海貝は九穴 滝の底に沈む。俗に曰ふ九穴の貝を食ふ者は永年にして老いず 蓋し滝水を飲む者をして延齢を得さしめんと欲するなり」

「くけつのかい」は、他のおはなしにも登場するものですが、この那智の滝のものは結局のところ貝自体は食べられたりはしないようで、そのエキスな滝の水についてのはなしになってます。

白河院がこの貝を欲しいとおぼしめされて、水練の達人を滝壺に送り込んだはなしも同書に見られますが、大きくて持ち出すことはかないませんでしたとのハナシ。

ふけずのかい」とはほぼ同じものであると考えられます。

和漢百魅缶│2017.02.26
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