くしだのだいじゃ 櫛田の大蛇

くしだのだいじゃ(櫛田の大蛇)

元弘3年(1333)3月13日、菊池入道寂阿[きくちのにゅうどうじゃくあ]が北条英時[ほうじょうひでとき]の館に押し寄せようとしたとき、櫛田宮[くしだのみや]のまえをとおりかかるとふしぎなことに馬たちが急停止。すくんで一歩も動かなくなってしまいました。

「わしのゆくのを邪魔するとは、ゆるせん」と寂阿が神前に向かって矢をバンバン射かけたところ、馬はうごくようになって、進めたそうですが、あとあと見てみると、お宮には2丈ほどの図体の大蛇が矢を受けて死んでたといいます。

☆ 莱莉垣桜文 附註
『太平記』曰
「神殿の扉を二矢[ふたや]までぞ射たりける矢を放つと均[ひとしく]馬のすくみ直りにければ さぞとよとあざ笑ふて 則[すなはち]打ち通りける その後社壇を見ければ、二丈許りなる大蛇 菊池が鏑[かぶら]に当たって死したりけるこそ不思議なれ」

寂阿は菊池武時[きくちたけとき]。櫛田宮は筑前博多にあるおやしろ。

和漢百魅缶│2017.01.11
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