なりた

なりた

無限にお米がでてくる袋をくれたというふしぎな鬼神。赤いたふさぎ(ふんどし)をしていて、眼はひとつだったといいます。

むかし、越前にいた世恒[よつね]という男が毘沙門天に熱心に願掛けをした結果、「高い高い山に行ってそこで なりた と呼べ、そしてこの文[ふみ]を渡せば良い」とお告げと手紙をもらいます。山へ行って「なりた」と呼んだところ、この鬼神があらわれて袋をくれ、これによって世恒は長者になったといいます。

☆ 莱莉垣桜文 附註
『宇治拾遺物語』や『古本説話集』に収録されてるはなしにあるもの。山の上で呼ぶ声は「なりた」ですが、『今昔物語』にあるほぼ同じ話(名前が世経になっており、たのむのも毘沙門天では無く吉祥天)では「修陀」となっています。

『宇治拾遺物語』曰
「たかき嶺あり。それにて なりた とよべばおそろしげなるこゑにていらへて いできたるものあり。みれば額につのおひて目一ある物 あかきたうさぎしたる物出[いで]来て」

和漢百魅缶││2015.03.27
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