ふくちゅうびょう 腹中猫

ふくちゅうびょう(腹中猫)

夢の中で狸猫[りびょう]が体の中に入って、その人を激しい翻胃のやまいにしてしまうというもの。

むかし、恵恭という僧が夢でこれに入られてしまい、翻胃になって苦しんでましたが、観音さまへ祈り続けたところ、夢に青い衣を着た童子があらわれて鶏の入ったかごを差し出し、恵恭の腹の中からこの猫をおびき出して退治してくれたそうです。

☆ 莱莉垣桜文 附註
『夷堅志』曰
「平江僧恵恭病翻胃 不能飲食 夜夢一狸猫自項背入腹中 従比日甚 毎過市見魚 深起嗜想 遂発意誦観音菩薩百万声 日待大悲呪百八遍 復夢至山中 遇道人相慰問曰 吾与汝薬 俄青衣童篭一鶏至前 猫自僧口出 径入篭擒鶏 因驚覚 病頓癒」

翻胃は、食べたものをすぐ吐いてしまって、何も食べられなくなってしまう病気。反胃。

和漢百魅缶│2013.06.20
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