があろっこ 蛙ッ子

があろっこ(蛙ッ子)

濃州の池田郡櫨原(はぜはら)につたわるもの。かえるが子供の姿に化けてひとの前に出て来たといいます。

平左[へいざ]という男が畑仕事をしてると見知らぬ子供が寄ってきたが一言もしゃべらないでジッとしてました。昼になったので平左が「おまえも何か食うか」ときいたところ、首をたてにふって後をついて来たので作ってあったふくべ汁をあげるとふしぎな子供は「うまい」と言って何杯もおかわり。礼を言って家を出て行きました。

平左があとをつけてみると、子供はいきなり川にドボン。かえるの姿になってしまいます。しかしふくべ汁を食べ過ぎてお腹がふくれたせいか、水にもぐれずすぐお腹がポコンと浮いてしまいます。かわいそうに思った平左が石を背中にゆわいつけてやると、無事に水にもぐることが出来ました。

その後、ふくべ汁と石のお礼なのか、平左の家の蓑[みの]掛けに魚を何匹もかけてくれてましたが、蓑掛けが古くなったとき、素材をたまたま鹿のつのに替えたところパッタリお礼は止んでしまったそうです。

☆ 莱莉垣桜文 附註
お礼として魚をかけてくるという部分は、「かっぱ」などの恩返しの昔話によくある型です。

和漢百魅缶│2013.03.23
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