やなぎのきのたませ 柳の木のたませ

やなぎのきのたませ(柳の木のたませ)

下総の木野崎につたわるはなし。むかし、ふたりぐみの男が夜、利根川に仕掛けをつくって交代で魚を待っていたとき、柳の木の上にピカピカひかるものが見えたので、男が棒で叩き落とそうとしたり、つっついたりしていたところ、光ってたものはパッ。消えちゃいました。

男が、休んでいたもうひとりの男のところに戻って、いきさつを話すと「おれはさっきまで変な夢を見てた、空をとんでたら変な男に棒で叩かれそうになった」としゃべったんだトサ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
「たませ」は総州や常州のあたりに広く分布してる「ひとだま」や「たましい」の呼び名です。この話自体は、ほかの国や地方でも「ひのたま」や「ろくろくび」あるいは「虫」や「蝶」などの話として残っているものです。「たましいのはと」などは同じようなもの。

和漢百魅缶│2012.02.22
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