かのむれおと 群蚊声

かのむれおと(群蚊声)

やぶの中に裸の状態で縄につなぎ、蚊の群れに襲わせて相手を苦しめ殺してしまうというおそろしい「蚊責め」によって殺されてしまったひとの亡霊などが起こすというもので、責め苦を行った本人にしか見えない蚊の大群が毎晩おしよせて、相手を苦しめます。

☆ 莱莉垣桜文 附註
式亭三馬『難有孝行娘』曰
「ころはげんとう雪ふりてかんきしのびがたきじせつなるに大声あげてあらくるしやこれはたまらぬ皆のものどもあれを見よあれあれあの蚊は目には見えざるやぶんぶんとなく声はなんぢらがみみには聞えぬか扨々おびただしや」

この作品でも蚊責めの殺し場面が出て来ていて、その後、見えない蚊の群れにおそわれる場面が登場しています。浄瑠璃や絵草紙でつかわれている幽霊の趣向のひとつです。

和漢百魅缶│2011.07.18
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