ほらぬけ 螺抜け

ほらぬけ(螺抜け)

海で育った大きな「ほら貝」が、山の中に入ってさらに大きく成長すると最後には山を大きく土砂くずれさせて空中に飛び抜けると言い伝えられています。

☆ 莱莉垣桜文 附註
仮名垣魯文『安愚楽鍋』曰
「ふしぎといへば、道灌山[どうかんやま]の螺抜よ。彼所[あすこ]を道灌山とつけたのは、むかし太田道灌といふ人が、城を築いた場だからさ。そこでその人がつねに戦に用いた螺貝を、天下泰平に成たから山へ埋てしまったのが、だんだん育って、こんど抜け出して天上したという評判だか、こりゃあ有りそうな事だね」
明治4年2月20日、東京の道灌山で地震も無いのに大規模な山崩れが起きた時も、「ほらぬけ」だよ、との噂が飛びあがったそうです。

豊前の「ほらのかい」や、 似たものに「くだりへび」などがありますが、こちらの場合は目撃すると命が危ないという点が増えちゃっています。

和漢百魅缶│2007.03.06
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